妙にエロチックな、ほんのり甘い香りに包まれて、
オレは無重力空間を浮遊していた。
目も意識も閉じていたが、
何だろう…?
…遠い過去、“中の世界”から“外の世界”へ出て、
初めて空気というものに触れるその瞬間まで、
やさしく抱かれて保護されていた“大いなる安心”
の香り…とでもいうのか、
そんな安らかなものをオレは感じていた。
ただ、過去のあの時は果たしてこんなエロスを
感じていたのかどうか、
それははなはだ疑問だが…。
今のオレは無意識の中にありながらも、
ペニスが勃起しているのが自分でもわかっていた。
しかし、この世に誕生する直前の胎児が、
たとえ将来スケベに成長するとしても、
母親の胎内でその可愛らしいちんちんを勃起させて
いたとは考えにくい。
オレをがんじがらめにとらえていた睡魔のパワーが
弱まって来ていた。
目覚めの直前、
休んでいた意識もゆるゆると動き始め、
閉じていた目がゆっくりと開き、
自分がたしかにこの世に存在することをうすぼんやり
と感じ始め、理由もなく安心し、
やがてハッキリと目が覚めるまでのあいまいな時間…、
これがなかなか「とろりんでろ〜ん」として
気持ちいい。(…でショ?)
ハッキリと目が覚めた。
ビックリした。
ン? この太股…、
誰っ?!あわてて身を起こし、その太腿の主を見た。
可愛い! でも誰? …あっ! 思い出した。(速っ)
てコトはココは…朝のコーヒーショップ?!
(
この記事 参照)
…違った。
彼女はたしかに朝のコーヒーショップで、
オレのとなりのとなりのテーブルでコーヒーを
飲んでいた、カーキ色のミニをはいたステキな
コ…なのだが、
そしてオレはその時ヤケに眠くって、
こんなコの太腿を枕にして眠りたいと強く願望した
のもたしかなのだが…、
摩訶不思議にもその願いが叶ったらしいのだが、
場所が違ってる。
「ここは何処? キミは誰…」
質問に答えずにキスされた。ネットリとエロいキスだ。
すぐにカラダがフニャフニャになってしまうほど
甘ったるい、絡む舌同士が溶け合ってしまいそうな
トロトロの感覚…。
しかし、そんな上半身と反比例して、
下半身では…、
えっ?! 何で?!
何で何の抵抗もなく…ストレートに勃起するワケ?
オレは全裸だった。
…いつの間に…?
ふと見ると、彼女も同じく全裸だった。
彼女はそのハダカのカラダを、
口の中で舌をからめているのと同じように、
しなやかにオレのカラダにからめて来る。
彼女の足がオレの腰をまたいだ瞬間、
勃起していたオレのペニスは彼女のすでにヌレた
ワレメの中に、ヌップリと吸い込まれ、
腰など振らなくても快感はお互いの全身隅々まで
行き渡り、こちらも溶け合ってしまいそうな
恍惚感がもうたまらない。
しかしこのセックスは、
得も言われぬ最高の快感に包まれはするが、
果たして最後までイクのだろうか…?
イヤ、このままでも充分にイイのだが。
むしろこのままのほうがいいかも知れない…。
とか思っているうちに彼女も、彼女と共に包まれ
ていた感覚も、そしてまわりのすべてがスーッと
フェイドアウト。
オレは今度こそ確実に目を覚まし、
目の前のテーブルの上のすっかり冷めたコーヒーを
飲み干した。
エロ苦い味を感じながらとなりのとなりのテーブルを
見たが、そこにはもう彼女の姿はなかった。
イヤ、そもそも誰かいたっけ?
ま、いっか。
得てして夢とはそーゆーふーに、
つじつまが合おうが合うまいが、
登場人物が謎であろーが知り合いであろーが、
疑問を疑問とも思えずに、
勝手にどんどん進行してゆくもの…。
そしてそれがどんなにイイ場面であろーが、
恐ろしくイヤな場面であろーが、
勝手に突然覚めるもの…
じゃない?
